産業キャプテン(Captain of Industry)クリア後のレビュー

工場ゲーム「産業キャプテン(Captain of Industry)」(以下、CoI)を一応クリアした記念としてレビューします。Update4時点の内容となります。

点数をつけるなら、個人的には90点以上にはなると感じています。特に不満という不満はなく、シンプルに加点法で高得点になった印象です。シンプルに買ってよかったです。

確かに、工場ゲームの名作Factorioほど脳汁が出るかというと今一歩及ばないところはあります。しかしCoIでしか得られない栄養素があるのは間違いなく、後で書きますがこの作品独自の強みがたくさんあると思います。個人的にはここ数年で買ったゲームの中ではかなりのアタリと言って差し支えない完成度でした。

Steamにはアーリーアクセスでもたまーに隠れた名作があるわけですが、今回はまさにそれでした。EAとはいっても、2026年5月時点のUpdate 4の段階でもう製品版と言ってよいくらいのボリュームになっていると感じます。

ちなみに日本語タイトルである「産業キャプテン」は流石にダサすぎるので、普通に「キャプテン・オブ・インダストリー」とかにした方がいいと思います。たぶん日本人プレイヤーの90%くらいは思ってそう。

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CoIは見てのとおり工場を作るゲームで、FactorioやDyson Sphere Program(DSP)などとかなり近い内容となっています。それと同時に、副産物の処理や循環という点ではOxygen Not Included(ONI)とも似ています。僕はこれら3つのゲームがかなり好きで、それらと近いCoIのコンセプトは個人的にどんぴしゃと言ってよい内容でした。ある程度の面白さが約束されたジャンル、と言ってもいいかもしれません。

このように内容的にも好みであり、クリア時点の達成感も大きかったのですが、実は、クリアまでに何度も挫折と再開を繰り返していました。何ゲームやり直したか数え切れません。「このゲームは俺には難しすぎる」と思って本気でやめようと思ったときも何度もありました。

CoIはイージーでもカジュアルな難易度というわけではなく、かなり骨太に感じました。単にロケット打ち上げを1つのマイルストーンとするなら、(ゲーム理解度の差を考慮しても)FactorioよりCoIの方が難しいと思います。そんなわけで、ある程度のところまで進めては脳がオーバーヒートを起こし、「これはもうアカン」となって挫折というのを繰り返していました。

工場のグランドデザイン、ユニティの管理、リソースの生産と消費のバランス管理、開発のタイミングなどとにかくあらゆる試行錯誤を繰り返して、どうにかクリアまでこぎつけた形です。要領がいい人はもっとサクッとクリアできるのかもしれませんが、僕の脳のキャパではとても大変に感じました。ちなみに、イージー難易度でクリアした時点での「累計」プレイ時間は200時間くらいでした。


他の工場ゲームと比べてCoIの特徴を挙げるなら、副産物管理の大変さがあると思います。

最初はA+B→Cみたいな単純なレシピから始まります。しかし特に原油が絡むようになると一気に複雑になって、例えば

A+B+C→D+E+F

みたいなレシピが大量に登場するようになります。次のステップに進むためにリソースDが欲しい。でも、Dを作ると今は必要ないEとFも出てくる。なのでその処理も考えないといけない。

貯蔵庫を作っておけば時間稼ぎにはなりますが、最終的には使い道や出口戦略を考えないといけません。シンプルに廃棄するという選択肢もあったりしますが、それだと大体ユニティ(住民の幸福度的なもの)が下がるので、工場発展の障害になります。

レシピによってはこのように大量のリソースが絡み、特に副産物の存在が最初は本当に大変に感じます。しかし副産物を上手く循環させたり、無害化して自然に廃棄する仕組みをセットアップするのが面白いと感じました。今だから思うのですが、もしレシピがもっと単純だったとしたら、ここまで面白いゲームにならなかったと思います。

前述のとおり副産物という点ではOxygen Not Includedと似たところがありますが、副産物管理の大変さではCoIの方が圧倒的に上だと思います。

ただしCoIのコンベアやベルトはかなり融通がきくのとサイズが小さいのも相まって、無理やりあちこち繋げまくるみたいな力技もけっこう通用します。また、そういった自動輸送だけでなくトラックによる輸送も可能なので色々工夫しがいがあります。


住民の幸福度に相当するユニティ(Unity)というリソースは面白いアイデアだと思いました。副産物管理とも密接に関わる要素です。

ユニティはCivilizationのような4X系のゲームでよくある幸福度に近いもので、住民が喜ぶようなことをすれば増加し、その逆もまた然り。

副産物を管理するのは資源を循環させて無駄を減らす目的もありますが、半分はユニティ目的なところがあると思います。分かりやすいのは排ガスで、これを垂れ流すとラインは止まりませんが公害が発生します。するとユニティが減る。ユニティが減れば島外資源の開拓がしづらくなり、布告(ユニティを消費するバフ)も出しづらくなる。だから副産物をどうにかしようというコンセプト。

ユニティ管理の恩恵がとても大きいのが、やりがいに繋がっていたと思います。特に布告は強力なものが多いと感じました。副産物の管理がめんどいだけではなく、それに対してちゃんと報酬があるというのが上手いバランスになっていたと思います。


難易度について。最初にもちょこっと書きましたが、個人的にCoIはかなり難しい部類のゲームだと思いました。

僕が最初にロケットを打ち上げまでプレイしたのはイージー難易度での話なのですが、それでもけっこうキツイ。イージーだとリソース不足で工場が詰むようなことはまず起きません。個人的に難しいと思ったのは、やっぱり副産物管理で、とにかくプレイヤーの脳の負荷が大きくなります。

僕が何度も挫折した時は毎回、「大変すぎる」という理由で断念していました。しかし今から振り返ると、これはノウハウ不足によるところが大きかったと思います。グランドデザインも重要ですし、細かい部分で工場の安定性を高めるコツが色々存在します。それらを知らない段階では工場全体の効率が悪くなり、結果として「大変」だとか「難しい」という印象になります。

しかし、グランドデザインを見直し、細かいテクニックを習得していくと段々とプレイが楽になってきた感じがありました。最終的にはそれがある程度のレベルに達してクリアまでどうにかこぎつけたという感じでした。

一見するとよくある工場ゲームなのですが、細かいところにこのゲーム独自の難しさというか、工夫しがいのある部分が散りばめられているように思います。例えば、CoIでは建設や輸送をトラックが担当します。そのため、経路最適化という問題は最初から最期までついて回ります。これはOxygen Not Includedと似たところがあって、特に面白く感じました。他にも整地や遠征のタイミング、資源をどこから引っ張ってくるか問題、なるべくコンパクトなレイアウト…など、考えることが盛りだくさんです。だからこそ最初は難しいのですが、個人的にはとてもやりがいのあるチャレンジで、めげずにやってよかったと思います。


整地が面白い、というのは自分でも意外な感想でした。

このゲームでは地形が少しでももっこりしていると施設を配置できません。そのため、拡張したいエリアは予め整地する必要があります。ショベルカーで掘ったり、トラックで埋め立てたり。

一見するとものすごく地味な要素にも思えるのですが、やってみるとこれがけっこう面白い。海を埋め立ててスペースを確保する、埋め立てで道を作って別な陸地にアクセスする、山を超えるための坂を作る、地下に埋まった資源を掘り起こす、岩の上に土を敷いて農業が出来るようにする…などなど、整地と一言で言っても色々なやタイプがあります。

ぜんぜん違うジャンルですがValheimというゲームで整地がやけに面白かったのを思い出しました。個人的にツボな要素なのかもしれません。


個人的に、戦闘要素が実質ないという点も評価ポイントでした。

というのも、僕は工場ゲームは本質的にプログラミングゲームだと思っていて、戦闘要素は面白いとは感じないからです。なのでFactorioやDSPも基本的には敵がいない設定で遊んでいました。

このゲームには海上の戦闘要素みたいなものは一応あるにはあります。世界地図みたいなマップ上で船を派遣するとたまに戦闘になるみたいな感じ。

ただ、これはオート戦闘であることに加え、研究を進めて必要な装備を揃えてからなら絶対に負けない仕様です。つまり研究と開発に応じて探索できるポイントが増えるだけ、とも言えます。メインの島自体は平和そのものなので、敵に工場を壊されるみたいなこともありません。ゲームの面白い部分だけに集中してゆっくりやれるのが個人的に好みでした。


レビューということで不満点も書くのが順当とは思うのですが、これといって思いつかないというのが正直なところです。

2026年5月時点ではまだアーリーアクセスなのですが、正直もう正式リリースしても全く問題ないと思います。ロケット打ち上げを1つのマイルストーンとしながらも、その後のエンドコンテンツも実装されています。ボリュームはむしろ多すぎるくらいかもしれません。

不満点は…特になし。

あとはゲームの内容が合うかどうかが問題となるわけですが、個人的には、既存の工場や自動化ゲームの流れを汲む作品としてとても楽しめました。Factorio、Dyson Sphere Program、Oxygen Not Includedなどが楽しめたプレイヤーにはおすすめします。

反対に、初見でもサクサク進めるようなカジュアルなゲームを求めている方にはおすすめしづらいです。あと、このゲームは最速モードでプレイし続けたとしても、ロケット打ち上げまでにけっこう時間がかかります。ローグライクのように短いプレイを繰り返すタイプではなく、1つのゲームを長くじっくりやり続けるタイプだと思います。この辺りの空気感を考慮しておくと、ミスマッチが減らせると思います。

個人的には90点以上。正式リリースが楽しみです。

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