VRゴーグル『Meta Quest 3』と『Meta Quest 3S』に使えるサードパーティ製ストラップ『KIWI design K4』のレビュー。
Meta Quest 3Sを購入してVR体験自体には満足するものの、やはりレビューで散見されるように装着感は悪いなとは思っていました。ストラップは本当に最低限機能するものを最低予算で実装したという感じ。個人的に3Sの使用頻度はそこそこ高く、これからも使い続けたいと思ったので、まずはストラップを交換することにしました。
Metaの純正ストラップ(Elite ストラップ)は8,000円以上の値段となり、ストラップにしては高いなというのが正直な印象。Amazonで売られれているサードパーティ製のものなら半額くらいで買える、かつレビューを見てもふつうに使えそうだったのでそちらを購入。
買ったのはKIWI designというブランドのK4という製品。セールで4,000円くらい。けっこうな頻度でセール価格になっていたので、欲しい人は(急ぎでなければ)リストに入れて待ってみる方が良いかも。
開封。梱包もしっかりしているし製品の質感もこの時点でなんか良さそうだなという印象。
Meta quest 3Sへの装着
この製品は3と3Sの両方に対応。(というかどちらもストラップ装着部の構造が同じなので必然的にそうなると思う)
以下の写真は、手持ちのMeta Quest 3Sに取り付けたときのものです。あくまで「私はこうやりました」という手順であって、公式の手順を紹介するものではないことをご了承ください。
ちなみに、3Sではなく3の方もちゃんと下記の要領で取り付けられることを実機で確認済みです。
まずは、ストラップの骨組みと、後頭部クッションを合体。画像赤枠の部分を合わせるのですが、これは非対称になっているので左右間違うことはないはず。
合体した様子。
Meta Quest 3S本体の方は初期ストラップと接眼部を外しておきます。個人的にストラップを外すとき、アームが折れそうでけっこう怖いです。
頭頂部のストラップをかけやすくなるので接眼部も外しておくことを推奨。
外せたら、初期ストラップと同じ要領で新ストラップを装着。
ちなみに、0.1mm単位で微妙に大きさが違うせいか、新ストラップは後で試しに外すのにさらに苦労しました。アームが折れそうで怖い…。こんな高級機器を壊したら洒落にならない。
人に助言できるほどの確信はないのですが、自分でやってみた感じでは、アームの先端側、つまり後頭部側から剥がしていく感じの方が外しやすいと思いました。
サイドのストラップを取り付けたら、次は頭頂部のストラップを本体の隙間に通しました。
接眼部を外さなくても物理的にこの手順は無理ではないのですが、外した方がストラップは通しやすいと思います。
ストラップをしっかり通したら、接眼部を元に戻します。
これで取り付け完了。初期のストラップのときとは印象がガラリと変わって、かなりいかつくなりました。
無惨に取り外された初期ストラップ。これはこれで使えなくはないけど、ストラップを新調した今となっては貧相すぎて失笑を禁じ得ないレベル。
ストラップとしての仕様
初期ストラップの締め付けがかなり原始的な仕組みだったのに対し、このストラップでは後ろのギアを回すことで簡単に出来るようになっています。
初期ストラップだと(その仕組み上)後頭部の髪の毛がぐちゃぐちゃになるという有り様だったのが、このギアの仕様だとそのまま締め付けられるだけなので超快適です。
後頭部を支えるクッション。初期ストラップと比べて安定感と快適さが天と地ほど違います。冗談抜きにふかふかの羽毛布団の上に横になったような感覚。
しかもこのクッションは本体から取り外して「水で洗える」という気が利く仕様。ただ、クッション表面は耐水性のある素材なので、たとえスキンヘッドでたくさん汗をかいても内部まで汚れることはまずなさそう。
裏はマジックテープでがっちりくっつけられます。こういう細かいところまで安いっぽい感じが全然しなくて、サードパーティ製も侮れないと思いました。
頭頂部のストラップも全然違います。初期ストラップでは幅の広いただの紐でしたが、これはクッションになってます。これも取り外して洗えます。
サイドのストラップが曲がるようになっていることで、ゴーグル本体を一時的に持ち上げて周囲を確認できるようになっています。
ただ僕は割と大きめなメガネをしていることもあって、この機能の恩恵はあまり受けられていません。メガネをしているとメガネがゴーグル内部に入り込む形になり、単にアームを曲げるだけでは顔から外せないため。
KIWI design K4の使用感
このようにストラップを実際に付け替えてみた率直な感想としては、もはや天と地ほどの差がある以外の言葉が出てきません。当たり前ですが完全なる別次元です。
Meta Quest 3/3Sの初期ストラップは確かに実用にはギリギリ耐えうるものでしたが、つけ心地の悪さはおそらく99%のユーザーは感じていたと思います。装着感の悪さによって、ゴーグルの品質自体は問題ないのに、ストラップがトータルでの評価を引き下げていると思いました。
そこでストラップだけこういったサードパーティ製に交換したわけですが、装着感がめちゃくちゃ良くなりました。もう初期ストラップには絶対に戻れません。使った人は全員口を揃えてそう断言するはず。
今回買ったサードパーティ製のストラップはセール価格4,000円という値段でしたが、その価値は十分にあると思いました。
実はこの「装着感」というのは、VRゴーグルの性質上、より重要な意味を持ってくると思います。というのは、VRゴーグルの場合、装着感が良くなる=VRの見え方も良くなる、という関係性が多かれ少なかれあるからです。
これは僕自身確かに感じたことで、ストラップを変えてから頭部の快適性だけでなく、視覚情報自体も一段階良くなったと感じています。今だから言えるのですが、初期ストラップだと頭にジャストフィットさせるのが難しく、レンズのスイートスポットを活かしきれていない感があったように思います。一方、新しいストラップだと「見え方が一番良いポジション」にゴーグルをしっかり(かつ簡単に)固定でき、必然的に、視覚情報の改善→VRへの没入感UPという結果につながりました。
もう初期ストラップには絶対に戻れない…。
初期ストラップがあの仕様である理由についての考察
Meta Quest 3/3Sを買った人の大半が抱いたであろう疑問。「初期ストラップはなぜあんなに装着感が悪いのか、なぜあの仕様で世に出したのか」。最後に、この問いへの僕なりの意見を書きたいと思います。ただの個人の感想です。
結論から言えば、初期ストラップの仕様については、単純にコストカットの結果だったのだと思います。削れるところはなるべく削って、トータルではなるべく低価格で製品として世に出したかったのではないか、ということです。
例えば、3Sは大体44,000円くらいで販売されています。正規店全体のセールで40,000円くらいになることもありました。個人的に、円安などの影響で何もかもが値上がりしている昨今、この値段は品質に対して明らかに安いと思います。確かに庶民的な感覚からすれば4万円のガジェットは安い買い物ではありません。しかし実際使った上でゴーグル本体のハードウェアとソフトウェアの品質を考えると、これを日本国内で今、4万円で売れるのは純粋にすごいなと思いました。
その値段で提供できている理由の一つが、やはり細かい部分のコストカットだと思います。それが特に顕著に現れているのがストラップだったんじゃないかなと。
例えば、仮に純正Eliteストラップを標準でつけたとします。すると製品としての価格は最低でも5,000円は上げざるを得ない。すると、製品に興味を持った人の中には「高いからやめておこう」と思う人も出てくる。それなら、削れるところは妥協して本体の部分をなるべく多くの人に手に取ってもらおう、ということじゃないでしょうか。それで、ストラップは交換できるようにしたから、気に入らない人は純正なりサードパーティ製なりに交換してね、という具合。
僕個人としては、3Sを最初にあの値段で手に入れられて良かったと思います。初めてのVRゴーグルとして3Sを手にとってみて、VRという技術の素晴らしさに気づけたからです。VRの良さに気づいた結果、こうしてサードパーティ製ストラップも購入し、さらには3本体までも買うに至りました。これまで体験してこなかった新しい娯楽に出会うきっかけになった3Sとその価格、そしてそのために犠牲になったストラップの品質。これらを総合的に考えると、「初期ストラップがあのような仕様であること自体」については、(今だから言えるのですが)僕は何の不満もありません。
最後に、僕は他人に「必須アイテム」という言葉は(押し付けがましく感じるので)あまり使いたくないので、そうは言いませんが、Meta Quest 3/3Sユーザーにはストラップの交換は強くおすすめしたいです。
前述の通り、ストラップの装着感は単なる快適性だけでなく、VR体験全体に影響を及ぼす重要な要素と言っていいと思います。互換ストラップを経験した今となっては、初期ストラップにはもう絶対に戻れません。
3/3Sをお持ちの方は純正でもサードパーティ製でも何でもいいので、ストラップを交換すればVRがもっと楽しくなると思います。3/3S本体をまだ持っていないという方は、別に最初から交換用ストラップまで急いで揃える必要はありません。実際にVRゴーグルを使ってみて、ゴーグル本体は気に入りつつもやっぱり装着感に難がある(とどこかのタイミングで十中八九思うでしょうから)、そう思ったタイミングで互換ストラップへの交換を検討してみるといいと思います。