今回は、漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない』の中から個人的に名言だと思ったセリフや印象に残ったシーンをピックアップしていきます。
有名なセリフや場面の元ネタを知ったり、面白さを共感できればと思います。
ネタバレを含むので、未読の方はご注意ください。
完璧な作戦
なるほど完璧な作戦っスね―――ッ
不可能だという点に目をつぶればよぉ~~~(文庫版19巻 p.9)
スタンド「バッド・カンパニー」を操る虹村形兆と、第4部の主人公である東方仗助の戦闘シーン。
このセリフは、とどめを刺す宣言をした虹村に対して仗助が言ったものです。
これは面白系の名言ですね。ジョジョ節が効いている言葉選びです。
コマ自体は小さいですが、面白いので僕は好きです。個人的な感覚では、これはそこそこ有名なセリフじゃないかと思います。
岸辺露伴がマンガを描く理由
ぼくは『読んでもらうため』にマンガを描いている!
『読んでもらうため』ただそれだけのためだ
単純なただひとつの理由だがそれ以外はどうでもいいのだ!(文庫版第21巻 p.237)
杜王町に住む漫画家、岸辺露伴(きしべ ろはん)のセリフ。
僕の記憶に間違いがなければ、ジョジョシリーズに漫画家として登場したキャラクターは岸辺露伴が初めてのはずです。
作中に漫画家を登場させるということは、そこに荒木先生自身を少なからず投影しているのではないでしょうか。
上記のセリフの通り、岸辺露伴がマンガを描く理由は単純に「読んでもらうため」だそうです。
ということはつまり、荒木先生も日々そういう思いながら筆を進めているのかな…と、読者の1人として想像しました。
このセリフの前後にも漫画家としての考えが描かれているので、機会があれば読み返してみてください。
もっともむずかしいことは…
もっとも『むずかしい事』は!
いいかい!もっとも『むずかしい事』は!
『自分を乗り越える事』さ!
僕は自分の『運』をこれから乗り越える!!(文庫版第25巻 p.157)
これはジャンケン小僧と闘うときに岸辺露伴が放ったセリフ。
ジャンケン小僧のスタンドは、ジャンケンで負かした相手のスタンドを吸い取る能力を持っています。
5回勝負で、この時点での戦績は2勝2敗。もう一度負ければ岸辺露伴はスタンドを全て吸い取られて負けてしまいます。
勝負自体はただのジャンケンなので限りなくシュールなのですが、上記のセリフは印象的でした。
一番難しいのは自分を乗り越える事。何かにチャレンジしようというときに勇気をくれる言葉だと感じます。
自分の心の底
人は自分の心の底を『他人』に隠したまま生活している
しかし……
永遠に誰にも『自分の本性』を隠したまま一生をすごせるものだろうか?(文庫版第25巻 p.187)
吉良吉影(きら よしかげ)が窓の外を歩く女性を見つめながら考えたセリフ(心の中で思ったこと)です。
吉良吉影は第4部を通じてジョジョたちが闘うことになる重要なキャラクターです。趣味は人殺しですと言わんばかりの残虐性の持ち主。
上のシーンでは、殺人鬼としての素顔を日々隠しながらも、他人にさらけ出したいという彼の葛藤が描かれています。
殺人鬼という点を一般化すれば、これは誰しも少なからず共感できる内容ではないでしょうか。
人間は本音だけでは生きられません。自分の中にしまっておくしかないこともある。しかし、それを誰かに知ってほしくもある…。僕は共感しました。
だが断る
だが断る
文庫版第26巻 p.76
ついに出ました。「だが断る」。
たぶんジョジョ作品中で最も有名なセリフはこれだと思います。短くて覚えやすいのもあって、ジョジョを知らなくてもこのセリフは知っている、という方は多いはず。
このセリフが出たのは、岸辺露伴がスタンド「ハイウェイ・スター」を操る噴上裕也に捕まったシーン。
岸辺露伴は、仗助を呼べば命だけは助けてやると言われます。
ほんとに助けてくれるのか…?と確認しつつも、露伴は「だが断る」の一言でバッサリ拒否します。
この後どうなったかというと、露伴は逆に仗助に逃げるよう忠告します。しかし、その意図とは逆に仗助は露伴のもとに来てしまうのでした。
元ネタを知らなかった人にも、このセリフがどういう場面で使われたのか、これで知っていただけたかと思います。
安心
さあ……?
でも「安心」なんてない所よ…
少なくとも…………文庫版第29巻 p.269
これは、吉良吉影に杉本鈴美が残したセリフ。状況が複雑なので、少々解説か必要です。
まず杉本鈴美というのは、15年前に吉良吉影に殺された少女です。吉良に殺されてから、彼女はずっと地図にない路地に地縛霊のようにとどまっていました。
仗助たちに破れた吉良の魂は、地図にない路地で鈴美と再会します。
その路地には振り返ってはいけない道があり、そこで振り返ると謎の力でどこかへ引きずり込まれてしまいます。
鈴美の策略で吉良は振り返り、遂に魂もどこかへ引きずり込まれます。上のセリフは、虚無へと消えていく吉良に対して鈴美が言い放ったものです。
第4部でもっとも気に入っているシーンやセリフを挙げるなら、僕はこの部分を選びます。
なぜかというと、「安心」というのは第3部でも登場した重要なテーマであり、僕自身共感している部分でもあるからです。
第3部で宿敵ディオは、「人間は誰でも恐怖や不安を克服して安心を得るために生きる」というセリフを残しました。
第4部にて、同じく宿敵として登場する吉良吉影はそれを実行しながら生きています。
殺人という行為を除けば、吉良はあらゆる場面で目立たないように生きてきました。学校でも会社でも、とにかく突出しないようにあえて平均的な結果だけを残しています。
吉良が平穏を追求して生きる姿や思想は、作中でも繰り返し描かれています。
このように「安心」は、ディオと吉良という超重要人物によって立て続けに登場したテーマです。
このことから、これは荒木先生自身も強く思っていることなのかな…と想像しました。第3部の名言まとめの記事にも書いたのですが、僕自身も安心を求めて生きるという部分にはとても共感しています。
おわり
以上、『ジョジョの奇妙な冒険Part4ダイヤモンドは砕けない』から、個人的に印象に残ったセリフやシーンをピックアップしてみました。
こうして見てみると、第4部には真面目な名言が多いように感じます。キャラクターの中では特に岸辺露伴がいい味を出していて好きです。
そしてもちろん有名な「だが断る」も出てきます。
未読の方はぜひ原作である漫画で読んでみてください。おすすめです。