アイザック・アシモフのファウンデーションシリーズ第三作目にあたる『第二ファウンデーション』の感想です。
- 『ファウンデーション』
- 『ファウンデーション対帝国』
- 『第二ファウンデーション』(本作)
ファウンデーションはこの第三作目をもって一応の終わりを迎えます。
第一ファウンデーションと同時に「星系の果て」に配置された第二ファウンデーション。これまでその存在が言及されながらもその詳細は不明であり、「今後どう明らかになっていくのか」というのが前作を読み終わった時点で楽しみでした。
本作ではこれまで散りばめられてきた謎があらかた回収されることもあり、読後の恍惚感はこれまでで一番でした。もはや芸術と言ってもいいほどに壮大なストーリーには満足感でいっぱいです。素晴らしい読書体験でした。
SFをベースにミステリ的な面白さを展開していくという手法は今回も変わりません。この知性をくすぐる感覚は病みつきになります。
個人的にすごいなと思うのは、これだけのスケールと諸要素からなるストーリーを、整合性を取りつつ破綻なくまとめ上げている点です。ここまで理詰めで長く楽しめる小説はほとんどないと思います。
このシリーズは完全に続きものになっています。一応これまでの振り返りはありますが、それは最低限のものであるため、物語を存分に楽しむのであればあくまで第一作目の『ファウンデーション』から順に読んでいくのがいいでしょう。
『第二ファウンデーション』は「ミュールによる探索」と「ファウンデーションによる探索」という二章からなります。ただし、読んでみると分かるのですが、単行本の区切りには実はあまり意味がありません。
というのも、(本書の解説によれば)ファウンデーションシリーズはもともとそれぞれの章が中編として雑誌に掲載されたものだからです。
実際には、次のような区切りがストーリーを整理する上で適切かと思います。
- 『ファウンデーション』の五章全て+『ファウンデーション対帝国』の第一章「将軍」
- 『ファウンデーション対帝国』の第二章「ザ・ミュール」+『第二ファウンデーション』の第一章「ミュールによる探索」
- 『第二ファウンデーション』の第二章「ファウンデーションによる探索」
ストーリーはまず、第一ファウンデーションが外縁星区の諸勢力や衰退中の帝国に対処するまでを一区切りと見るのがいいと思います。
そして次に、ミュールという全く新しい脅威がストーリー上に登場する、巻をまたいだ二章分がひとまとまり。
最後に、これまでずっと謎のままだった第二ファウンデーションの実態に迫る最後の一章が最後の締めくくりになります。
これら全てをちょうどいい単行本にまとめ上げると、今のような区切りの3冊にならざるを得なかったのでしょう。
1953年に発表された『第二ファウンデーション』を持ってシリーズは一応完結という形を取ります。
しかしその後30年も経って、第四作目にあたる『ファウンデーションの彼方へ』が発表されました。ここからさらに第七作目まで続いていきます。
この記事を書いている2021年時点では、第四作目以降はしばらく新訳が出ておらず中古でしか手に入らない状態です。
四作目以降も面白い作品なので、ぜひどこかの出版社で新訳を出していただいて、手に取りやすい状態になればいいなと思います。