【Path of Exile感想】複雑なゲームメカニズムとファームが楽しい【90点】

Path of Exile

個人的評価:90点 とても面白かった

ハクスラAPRG『Path of Exile』(PoE)の感想レビューです。最初のリリースからもう何年も経っているので今さら感はありますが、個人的にハマったのは割と最近なので書くことにしました。

個人的にハクスラは特に好みのジャンルで、最高のオフラインゲームは『Grim Dawn』(グリドン)だと思うくらい好きです。総合的にはグリドンの方が楽しめましたが、正直Path of Exileも甲乙つけがたいほどの傑作だと思います。

今でこそ絶賛しているPoEですが、実はハマるまでかなりの時間を要しています。ただその壁を超えたあとは時間を忘れてプレイしていました。6,000円くらい課金しましたが全く後悔していないどころかそれ以上楽しめたとも思います。

熱中してから燃え尽きるまでここまで長く遊べたゲームはほとんどなく、出会えてよかった作品の1つです。ただし大きな長所と同じくらい気に入らないところもありました。

似たゲームであるグリドンとところどころ比較しながら感想を書いていこうと思います。

【外部リンク】Path of Exile | Steam

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Path of Exile 良かったところ

ビルドを組むのがとにかく楽しい

ビルドを考えてそれを作り上げていく。結局のところハクスラの面白さとはこれに尽きると思います。PoEについてもそれは同じで、ビルドが理想形に近づいていく過程がとても楽しめました。ビルドが完成した瞬間というよりは、そこに至るまでの試行錯誤や想像を膨らませる時間を特に楽しんだという感じです。

最初の100時間以上は知識もなく、他人のビルドを真似るしかありませんでした。しかし多少知識がついてからは既存のビルドを自分なりにアレンジする余地が生まれて、本格的にハマったのはそのあたりからです。

これまで回れなかったマップを安定して回れるようになったり、あるアイテムを手に入れた瞬間にいきなりDPSが数10%上がったり。こうやってキャラクターが強くなっていくのを実感するのがとにかく楽しかったです。

ビルド構築という点でここまで楽しめたのはグリドンとPoEくらいですね。

良い意味でゲームが複雑である

PoEはゲームメカニズムが極めて複雑です。ストラテジージャンルを除けばここまで要素数が多く複雑なゲームをこれまで見たことがありません。僕自身今でも分からないことの方が多いですし、むしろやればやるほど分からないことが増えていく気さえします。純粋に複雑さだけに注目すればグリドンを超えているでしょう。

要素が複雑なだけあってビルドの種類もそれだけ幅がある、というか無数にあると言っても過言ではないと思います(エンドコンテンツへの適性はともかく)。運営が想定したいくつかのビルドをどれかを選んでトレースするみたいな浅いものでは決してありません。

その点でPoEは要求される知識の量もすさまじく、遊ぶハードルが高いゲームでもあります。ここまで人を選ぶゲームはそうそうないでしょう。しかし、だからこそ奥が深く、他を圧倒する傑作になりうる大きなポテンシャルを秘めているとも思います。刺さる人にはとことん刺さって、何百時間、何千時間も溶かせるコンテンツがそこにあります。誰でも最初から楽しめるようなカジュアルなゲームだったとしたら、良作という評価にはなったかもしれませんが、きっとここまで高く評価は出来ませんでした。

個人的に、大味のゲームよりは、自分がハマるにせよハマらないにせよ、こういう尖ったゲームの方がやってみたくなります。

実を言うとこのPoEというゲーム、僕は連続してプレイしているわけではなく、最初の50時間の間に何回も挫折しています。「面白そうだなあ」と思って始めてはみたものの、複雑すぎて何をやっていいのか分からない。仕組みが分からないから強くなれない。やめる。そういうふうに、ちょっと手を出してはすぐやめるみたいなことを何回か繰り返していました。もしもその間にゲームの感想を書いていたら低評価になっていたでしょう。この壁を超える前に挫折してしまう人もけっこういると思います。

生きた経済とトレード

ゲーム内に「生きた経済」が存在していることが他のゲームにはないユニークな点で、特に新鮮味を感じました。この面白さはこれまで味わったことがなかったため、仕組みを理解したときは「これはすごいな」と素直に思いました。

PoEはオンラインゲームであり、(トレード制限モード以外では)他のプレイヤーとアイテムの取引が自由に出来ます。ビルドを強くする=強い装備を整えていく上でトレードは欠かせません。このトレードがとても面白い。

トレードと言っても、アイテムの価値(値段)は運営が決めるのではなく、プレイヤーどうしの合意によって決まります。それゆえアイテムの需要が高まれば値段は上がっていくし、その逆もまた然り。例えば、人気のあるビルドに必要となる装備やアイテムは欲しい人が多いので必然的に高値がついていきます。突き抜けた性能を持つ一点ものクラスの装備になると、適正価格みたいなものはなくて言い値しだいになっていく。不人気なコンテンツでしか手に入らないアイテムも希少価値が高くなるので良い値段でトレード出来ます。

さらにPoEは基本的にリーグ制なので、リーグごとに経済が完全にリセットされます。億万長者みたいな廃人プレイヤーも、10分で飽きた人も、リーグが終わってしまえば同じく資産ゼロに戻ります。そのため経済が停滞することはありません(Standardリーグは別)。これも上手く出来てるなと思いました。

こういった動的な経済はオンラインゲームならではのシステムであり、グリドンにはない魅力だと思いました。

(良くも悪くも)カレンシーを集めるゲームである

トレード要素があるおかげで、自分では見つけられない・作れないアイテムでもマーケットにさえあればカレンシーを払って手に入れられます。これが便利だと思いました。

最終的には、カレンシーを集める→ほしい装備を買う、というのがビルド成長の流れになってきます。自力でクラフトすることも理屈の上では可能ですが、結局はカレンシーを集めて買った方が早いことが多い印象です。

この「カレンシー集めゲー」としての側面は賛否が分かれるかもしれませんが、個人的には肯定的に捉えています。というのも、クラフトでほしい装備を作るのはかなりの知識が必要で、僕はそこまでは学習しきれませんでした。それでもマップを回ってカレンシーさえ手に入れればどんな一品でもいつかは買える。そういうロマンがあると思ってむしろ楽しんでいたくらいです。

また、アイテムを自作するとしても(クラフトに直接使う)カレンシーを当たりが出るまで打つというランダムな作業が必要なことがあります。僕はそういうクラフトのお祈りはしたくなかったので、ランダム要素回避と時短が出来るという点でも金で解決できるシステムなのは好都合に思いました。

ファーム(金策)を工夫するのが面白い

そういうわけでエンドコンテンツに挑戦する上ではカレンシーを集めることが必要となります。そこで繰り返し行うことになるのがのファーム(金策)であり、その方法をあれこれ模索するのもかなり楽しめました。

このゲームには「これが一番儲かる!」みたいな絶対的なファーム方法はありません。たとえそれがあったとしても、生きた経済が存在することで需要と供給のバランスが変化し、しだいにそこまで儲からなくなります。運営がわざわざ調整しなくても自然とそうなるように出来てるのがすごい!

確かに、Expeditionが手堅いみたいな定石は多少あるものの、他の方法が格段に見劣りするわけでもありません。また、儲かる儲からない以前に、自分がやっていて楽しいと思えるかもけっこう重要です。時給が高いとしても時間をかけなければ結局稼げる額は増えません。反対に、時給がそこまで高くないとしても、苦でないファームであれば長くやって最終的には大きな儲けになります。

それと同様にアトラスパッシブツリーの振り方にも絶対的な正解はなく、「こうした方が効率がいいのでは…」とあちこち入れ替えて試行錯誤するのが楽しかったです。

また、そもそもビルドによってファームの向き不向きがあります。モブを素早く倒して高速でマップを回るのに適したビルドもあれば、マップ周回が遅くても強ボスに対してめっぽう強いみたいなビルドもあります。これもケースバイケースです。ちなみに個人的には対ボス性能が高いビルドの方が好みでした。

ACTクリアまでは無料でもやれる

PoEは基本無料でプレイでき、アイテム保管のためのスタッシュや見た目を変えるスキンへの課金で成り立っています。

ACT(ストーリー)クリアまでであれば無料でも問題なく遊べるバランスになっているのはかなり良心的と思います(もちろん課金した方が多少便利ではある)。なので、Steam返品期限の2時間制限を気にすることなく、果たしてPoEが自分に合っているのかどうかじっくり確かめられるわけです。ACTをやってみて「自分には合わないな」と思ったらそのままやめられるし、「エンドコンテンツもやりたい!」と思ったらそこで初めてスタッシュに課金すればいい。

ちなみにPoEにおいてACTはチュートリアルであり、その後の「マップ」と呼ばれるコンテンツが実はメインです。課金しなくてもマップの基本コンセプトやプレイフィール、アトラスパッシブツリーの仕組みは十分把握出来ます。「へえこんな感じなんだなあ」と思うくらいまではやれるはずです。

マップをやるなら、まず「カレンシー」「マップ」スタッシュに加えて、トレード出品用の「プレミアムスタッシュタブ」は必須。少なくともこの3種類があればマップ攻略を初められると思います。為替にもよりますが、高くても3,000~4,000円以内で買えるはずです。

ちなみに、Steamでプレイしていても一時的にEpic Gamesから課金したほうがだいぶお得です。(2023年8月時点)

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Path of Exile 気になったところ

以上のように、PoEは他のゲームでは見られない個性と長所があります。それらを踏まえて総合的にはとても楽しめたゲームではあるものの、正直気に入らない面もかなりありました。

アクション要素を求められる

PoEをやっていて一番萎えたのは、特にエンドコンテンツでアクション要素(つまりステータス以外のプレイヤースキル)を求められた点でした。どんなにビルドを強化していたとしても、それに加えてアクション要素を上手くこなさないといけない場面が少なくありません。

PoEを実際にやった人は分かると思いますが、まさかエンドコンテンツ終盤でFallguysみたいな床踏みゲームをやらされるとは思っていませんでした。冗談ではなく本当です。あと火の玉転がしとか。しかもこれらはゲームのフレーバーなどではなく、重要なギミックなのです。

個人的にはこういうアクション要素は非常に合いませんでした。グリドンのように、なるべく棒立ちしてステータスとステータスでぶつかり合うみたいなゲームの方が好みです。まあこの辺は開発者と僕との理想のミスマッチなので仕方ないですが。

そもそもPoEはそこまで操作性がいいゲームでもないのと、後述するカメラ位置の問題でアクションに向いていないと思います。こういう要素がなかったら個人的評価はもっと上がっていました。

カメラの位置が低すぎる

PoEは他の見下ろしゲームと比べてもカメラの最高位置が低すぎて、見える範囲がとても狭く感じました。ゲームをやり始めたときは違和感で仕方ありませんでしたし、エンドコンテンツに入ってからはさらに大きな障害となりました。

カメラの位置が低いと見える範囲が小さいので、離れた敵の動きが把握しづらくなります。特にボスともなると体が大きかったり浮いたりしているのでそもそも画面に入りきりません。

このゲームではダメージ床が出てくるボス戦がほとんどで、位置取りも難しいです。ダメージ床を避けるために動き回るとさらに敵を視界に入れづらくなって、何をしているのかが分からなくなります。

そうこうしているうちに視界外から強烈な一撃が飛んできてワンパンされたときはもう本当にゲームをやめたくなりました。というか実際しばらく時間を置かなければいけないことも少なからずありました。

ただカメラ位置の問題については技術的な理由もあるのかなと思います。カメラ位置上限を高くすると描写が必要なオブジェクトが増えてPCの負荷が上がるみたいな。

頻発するワンパン即死

ライフほぼ満タンの状態から一撃だけで即死する、いわゆるワンパンというものがこのゲームではよくあります。ゲームバランスだけでなく、前述のカメラ問題の影響も大きいです。何が起こったのか分からず死ぬとかなりやる気をそがれるのと、自分が何を食らって死んだのかゲーム内で確認する手段もないのが不便。

ちなみにPoEクリドンの影響を受けている『Last Epoch』は誰の何属性の攻撃で死んだか表示される親切設計です。

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多すぎる減速デバフ

敵の攻撃やギミックのデバフ効果で足が遅くなる場面が多すぎるのもかなり気になりました。movement speedを下げる効果を持つ状態異常、デバフの数が尋常ではありません。このゲームは敵を倒したりマップを駆け抜ける爽快感が売りの1つだとは思うのですが、減速効果で台無しになることが少なくありません。

敵の呪いで減速、敵が死んだときに出来る沼で減速、何かに縛られて減速。壁から出てきた矢にあたって減速。とにかく減速のオンパレード。

減速ってそんなに面白いゲーム要素だろうかと疑問です。全部消す必要はないとしても、もう少し数を減らしてくれた方がゲーム本来の良さを引き出せると思います。

ビルドの自由度について

必ずしも100%悪い面とまではいかないですが、どこかに書かなければと思うのでこの項に書きます。先にビルドの自由度が高いと書きましたが、これについて2つ気になる点があります。

まず第一に、初心者がPoEのエンドコンテンツまでプレイする場合、まずは上手い人が作ったビルドを真似しないとろくに進めません(ACTクリアまではたぶんいける)。複雑なゲームシステムであるがゆえに、最初からオリジナリティもあって強いビルドを作れるわけではありません。もちろん最初から上手くはいかないなんてどのゲームにも言えることですが、PoEについてはそれが特に顕著だと思いました。ここがゲームを評価する上での分水嶺の1つかなと思います。

正直なところ僕は他人のビルドをトレースするのはあまり面白くないなあと思いながらやっていました。ただ振り返ると、その後じっくりと楽しむには、そういったトレースによる学習も必要なプロセスだったんだなあと思います。

第2の気になる点は、エンドコンテンツ、特にボスに対する適性がビルドによって差がありすぎることです。端的に言うと、自分で殴ったり魔法や矢を打ったりするhitベースのビルドが不遇すぎます。

この手の自分で殴る系のビルドはモブを素早く殲滅することにかけては優秀です。一方で、ボスに対しては足を止めて戦えないため、攻撃頻度が減る→実質DPSが出ない、という問題が起きます。その点、トーテム、あるいはDoT系のビルドであれば、本体が動き回ってもダメージを出し続けられます。同じ資産をかけても対ボス性能があまりにも違います。

こういうったビルドによる適性の大きな違いは100%悪いこととは思いません。プレイヤーによってファーム方法に違いが出るなどのメリットはもちろんあります。ただ、実際に自分でHit系のビルド(具体的には手打ちするLightning arrow)を作ってエンドコンテンツへの適性のなさを実感したときは虚しくなりました。そしてその後作ったバリスタDoTビルドで感動しました。

Path of Exile 感想まとめ

総評として、PoEは個人的にものすごくハマッたゲームの1つであり、Steamのプレイ時間で見てもTOPクラスです。同じハクスラというジャンルの中でもグリドンにない要素も多く、どちらも楽しめました。

しかしそれと同時に自分とは合わなかった要素が多かったのも事実。「これがなかったらもっと面白いのに」と思う場面も少なくありませんでした。総合的に見て高評価だったのは、それらの短所をかき消すほど長所が大きかったからです。

このゲームを他人に勧めるかというと、答えは圧倒的にイエス。なぜなら基本無料で遊べるからです。

確かにPoEはクセが強い作品です。主に複雑なゲームシステムと必要な学習量の多さを理由として、ここまで人を選ぶゲームはそうそうないと思います。もしもゲーム本体の値段が5000円だったら、ハマれる期待値を考えると知り合いには勧められません。グリドンやDiaboがすごく楽しいと思ったならPoEもやって損はないかなというくらい。

ただACTクリアまでは無料でも十分遊べるのと、マップ(エンドコンテンツでありメインコンテンツ)がどういうものなのかは無課金でも分かるようになっています。本格的にやりたくなって初めて課金要素が生まれるので、その点は新規参入者に優しいと思います。

そういうわけで、ハクスラAPRGが好きならやらない手はありません。そうでなくても、ちょっとでも面白そうだと思ったらインストールしてみても損はないと思います。

個人的評価は90点。傑作。

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