【Horizon ZeroDawn感想】世界観とグラフィックは秀逸だが、他は大味【50点】

個人的評価:50点 自分には合わなかった

Steamでプレイした『Horizon Zero Dawn』の感想です。Steamにも同じようなことを書いたのですが、もう少し深掘りしてブログにも書こうかと。

最初に断っておくと、レビュー内容は全体としては否定的なものになります。ゲーム自体は7時間くらいプレイして「自分には合わないな」と思いやめてしまいました。ですので、当レビューは本作が好きな方が見てもあまりいい気持ちがしないかもしれません。

DLC込みのComplete Editionをセールで1,600円くらいで購入。フルプライスで買ったわけではないので、7時間遊べればまあ娯楽としては悪くないかなと。もちろん最後まで楽しんでやれればよかったのですが。

総評としては、世界観とグラフィックスは良いのですが、他の要素がかなり大味に感じてしまいました。他のゲームに比べて劣る部分が目立ちます。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント

Horizon Zero Dawn 良いところ

世界観とグラフィックス

本作の最も良いところは、ユニークな世界観とグラフィックスだと思いました。

ゲームの舞台は発達した文明が崩壊した後の世界で、そこでは原始的な要素とSF的な要素が上手く混在しています。どちらか一方とか魔法ファンタジー系のゲームはけっこうある印象ですが、ハイテクローテクの2つを上手く両取りする世界設定のゲームはあまりなく、新鮮味を感じました。

それを描き出すグラフィックスの質も評価ポイントだと思います。ふだんあまり画質にこだわらずゲームをすることが多い自分ですが、やり始めてすぐ「おーこれはグラフィックが良いゲームだな」と素直に思いました。美しい自然や不気味で驚異的な機械獣が上手く描かれていると思います。

グラフィックスの質に対して、PCの不可はそこまで高くないと思います。自分はi7-4770(買い替えないと…)とRX6600XTという構成でプレイしたのですが、低画質プリセットでも画面はかなりキレイに感じられつつ、fpsは60弱を維持していました。混戦時は流石にカクツキが気になる場面はあるものの、まあ許容できるレベル。

SSDへのインストールは前提として、比較的最近のCPUとグラボを使っているなら問題なくプレイできる作品だと思います。超重量級タイトルというわけではありません。

表情の自然さはピカイチ

グラフィックスに関連してもう一点。

会話中のキャラクターの表情がとても自然で、これまでやってきたゲームの中でも随一と言っていいレベルです。これはかなり驚きでした。

グラフィックスが評価される作品は珍しくないものの、人間の表情となるとどこか貼り付けたような不自然さを感じることが少なくありません。この辺は技術的な天井なのかなと前々から思っていました。

ただ本作においては、唇の動き、目線、顔のそれぞれの筋肉の動き、といった表情の細部までかなり自然なレベルで仕上がっています。ゲームもここまで来たかという感じがしました。大きな評価ポイントの一つだと思います。

フォーカスでゲームとしての利便性を自然と向上

本作には『フォーカス』という周囲のスキャンが出来る便利アイテムが登場します。これがあるおかげでゲーム体験がだいぶ快適になっていると思います。

フォーカスを使うとインタラクト出来る対象、敵とその行動パターン、視認しにくい動物を安全かつ確実に把握できるのでプレイフィールの向上に大きく貢献しています。ちょっと違いますがWitcher3にもこんなシステムありましたね。

フォーカスはゲームシステム的に都合のいいアイテムですが、全時代文明の遺物という形を取ることで、世界観とのミスマッチが起きません。ローテクとハイテクを融合させた世界観がここで活きてきます。

プレイに支障をきたす不具合なし

Steamの初期のレビューを見ると、ゲームをプレイする上での技術的な不具合についての言及が目立ちます。というか初期はBADレビューのほとんどがその類だと見受けられました。具体的には、進行不可能バグ、起動不能、セーブデータ消失、クラッシュなど。

ただそれ以降アップデートされたおかげか分かりませんが、2023年11月の段階ではそういった不具合は7時間の中で一度もありませんでした。僕自身もゲームにはBADレビューを投じる1人ではありますが、それは完全にゲーム内容に基づいた判断です。

キャラクターの容姿は別に気にならない

ゲームの良いところではないですが一応。

Steamのレビューでは主人公の容姿が気に入らないという意見を目にすることが少なからずありました。Fallout4みたいに会話の度に主人公まで映るタイプなのと、あくまで洋ゲーなりのデザインなので、まあ言っていることは分かります。

ただ仮に主人公が美形だったとしてこのゲームの個人的評価が上がったかというと、そうはなりません。これはたぶん僕がゲームというものに対してグラフィックだとかキャラクターの容姿とかにこだわらないからだと思います。顔までカスタマイズできるゲームも平気で即デフォルトのまま始めるくらいなもので。

Horizon Zero Dawn 気になったところ

良いところは上記のとおりであり、評価できるポイントはそれなりにあります。ただ自分としてはどうしても悪い面で気になるポイントがそれを上回り、最終的には許容できないと感じてしまいました。

ゲームの諸要素が大味である

本作の欠点を一言で言うならば、「既存のタイトルを参考に取り入れた諸要素の多くがどれも薄味で、洗練されていない」となります。詳細はこれからたっぷり書いていきますが、一つひとつのゲームシステムに注目すると「これって〇〇の方が明らかによく作られているよね」と思ってしまうことが多かったです。

薄味であるという点で言えば『The Outer Worlds』を彷彿とするものがあります。ただそちらは全体として肯定できる作品ではありました。

【関連】The Outer Worlds プレイ感想

 

本作は既存の有名タイトルから長所を引き継ぎ、それらを上手く融合しようとした意欲作であるといえます。やってみると分かるのですが、「これはあのゲームに似てるな」と思うポイントがけっこうあります。

  • オープンワールド…多くのゲーム。TES(Skyrim、オブリ)、Fallout、その他多数
  • 会話における選択…上に同じ、Witcher3、Mass Effectなど
  • ステルス、パルクール…アサシンクリード
  • 巨大モンスターとの対峙…ソウルライク全般、モンハン(?)

オープンワールド然り、選択式の会話然り、その他の要素についても個人的に好きなゲームシステムではあります。なので、このゲームが目指した方向性自体はおおよそ僕の好みであり、そのため購入時に少し調べた段階で「これは面白そうだな」と思いました。

確かに本作は面白いゲームシステムを多数採用してはいる…でも実際にプレイしてみると、どれも薄味な印象で「あれ?」と肩透かしを食らうことがほとんどでした。

以下で思い出せる限り書いていこうと思います。

サイドクエストがおつかい

本作はクエストベースでやることが出てくるオーソドックスなゲームであり、メインストーリーとは別にサブ、サイドクエストが多数存在します。

他の要素も相まってSkyrimやWitcher3を強く彷彿としますが、本作のサイドクエストはどれも深みがなくただのおつかいであると感じました。(もっと進めば面白いクエストが出てくるのかもしれませんが。)確かに他のゲームのクエストも突き詰めるとおつかいではありますが、本作は昨今のゲームと比べてもクエストに魅力を感じませんでした。これが「薄味」である点の一つです。

そういうわけで、メインはともかくとしてもその他の脇道も含めて面白い話があるとは思わない方がいいと思います。

キャラ育成・ビルド構築的な楽しみはほぼなし

RPGジャンルで見られるような、キャラクターの能力を育てたり装備を整えていく面白さは本作ではほぼありませんでした。これは個人的に期待してた要素でもあるのですが例によって薄味で、まあこんなもんか…という感じです。

Path of ExileやGrimDawnみたいな突出したキャラ育成、クラフト要素は流石に期待しませんが、せめてSkyrimくらいの手応えはあってほしかったかなというところ。

レベルを上げるとスキルを獲得できる仕組みがありますが、好きな順番で取れるとはいえ、それでプレイに人それぞれの特徴が出ることはありません。

パルクールは超限定的

『アサシンクリード』シリーズなどで見られるようなパルクール(縦横無尽のよじ登り)アクションは、本作にも登場します。これもまた既存のゲームから良いところを抽出しようとした結果と思います。

ただし本作においてはパルクールが出来る場所は実は完全に限定されています。

パルクールが出来る箇所では、掴まれる場所が強調してあるので大体分かります。逆に言うと、それ以外の場所では素のジャンプで飛び越える以外の縦方向のアクションがありません。パルクールは出来るのに、他の場所ではよじ登ったりは一切できないのが違和感で、やはり薄味に感じてしまいました。

まあこのあたりに関しては近年のアサクリの作り込みが半端なく、そこを一番の売りにしているタイトルと比べるのは酷かもしれませんが。

入れる建物は基本ない

これはやっていてびっくりしたのですが、このゲームでは建物の中に入るという概念がほぼ存在しません

クエストが進む最中に建物を出入りするということはあるのですが、ドアがある建物にインタラクトしてそこに入るという仕組みが基本的にありません。だだっ広いオープンワールドがあるのみ。Skyrimをやった人は、ホワイトランの建物全てに入れない様子を想像してみてください。

オープンワールドの仕組みを採用することで世界の広さを表現することはある程度成功しているものの、上記の仕様によって悪く言えば「ハリボテ感」が出ていました。薄味。もっと進めば入れる場所もあるのかもしれませんが、少なくとも序盤は一切ありませんでした。

敵ごとにやることは結局毎回同じ

機械獣はその種類ごとに弱点が設定されていて、これは前述のフォーカス+ゲーム内辞典参照で知ることが出来ます。そうして敵の特徴を掴み、弱点の部位に弱点の属性の攻撃を叩き込むのが、このゲームのセオリーです。

最初はなるほど敵ごとに違った戦い方があるんだなと思って楽しかったのですが、何度も戦うと同じことの繰り返しと思うようになりました。

ただ、オープンワールドのゲームで戦闘まで楽しいゲームの方が珍しいので、これは本作の特に大きな欠点とも思いません。他も大体こんなもんです。SkyrimやWitcher3も他の魅力があるとはいえ戦闘自体はだいぶ薄味ですよね。

セーブ・ファストトラベル周りの不便さ

ゲームのセーブが焚き火という特定の場所でしか出来ないのは流石に不便。

クエストの区切れ目などでオートセーブされるような特殊なケースを除いては、セーブしたければ最寄りの焚き火までいちいち行かないとゲームを辞められません。

もちろんF5でクイックセーブなどはなし。任意の場所で任意のタイミングでセーブできるゲームを経験したあとだと、皮肉にもこのゲーム自体に対して前時代的なものを感じました。

また、ファストトラベルの仕様もこの不便さに拍車をかけています。本作のファストトラベルはどこからでも出来るのですが、行き先は焚き火のみ。さらに毎回消耗品を1つ使います。

うーん、昨今のゲームは利便性の面でも進歩して行っているので、そういった情勢の中で本作ももっと便利にはならなかったのかなと思います。少なくともわざわざFTに消耗品が必要な仕様にする意味が分からない。

ステルスについて

敵に見つからないように行動するステルス要素については本作のかなり重要な要素の一つで、ベースの部分はしっかり作られていると思います。

(1)背の高い草むらに隠れる、(2)敵の背後を取る(フォーカスを利用すると特にやりやすい)。この2点が肝ですね。

ただ、僕がやった限りでは遮蔽で視線を切るということが基本出来ないのかなと思いました。つまり、草むら・背後を利用しないと、画面上で敵から見えていないようでも見つかるということです。それでいて草むらに隠れてしまえば、どう考えても見えてるでしょって構図でも絶対に見つかりません。

ルアーで敵を釣りだして草むらで倒すのはシュールすぎて笑えました。良くも悪くも簡単すぎる。

まあこの辺はゲームだからでいいか…。

フォーカス中の移動制限

ゲームのプレイフィールを向上させるはずのフォーカスですが、これを使っている最中の移動制限が不便に思いました。移動制限どころかほぼ動けなくなります。

ゲームの基本的なキャラクター移動・操作については悪くない作りで、特に違和感なくプレイできるものです。だからこそ、フォーカスの減速でゲームのリズムが乱れ、本来悪くないはずの操作性の足を引っ張っているのがもったいなく思いました。

まあこれは誰が見ても明らかなので、おそらくフォーカス中も自由に動き回れると負荷が高くなりすぎるみたいな技術的な理由があるんだと思います。

まとめ

総評としては、本作『Horizon Zero Dawn』は、ローテクとハイテクが融合したユニークな世界観と、キレイなグラフィックスという点については高く評価出来る作品だと思います。また、ゲームが目指したビジョン自体はとても挑戦的で、プレイしている側からも開発者の熱量みたいなものを感じました。既存の人気タイトルの諸要素を上手く統合しようとした意欲作であるともいえます。

ただ、実際のところは肝心のその「諸要素」がどれも他タイトルの劣化版のような印象を受けてしまい、トータルでは評価できなかったのが残念。他のタイトルを参考にしている(であろう)からこそ、どうしても比べてしまうんですね。

例えば、脇道も含めてストーリーはWithcer3ほどの深みはありません。オープンワールドとしての作り込みや利便性は(もはや完全に過去のものとなりつつある)Skyrimにさえだいぶ劣ります。パルクールやフィールドの3次元的探索はアサクリと比べるべくもなく、キャラ育成ビルド構築的な要素も大昔の国産RPGの方が上。

それぞれの要素は本来面白いはずなのに、あれもこれも手を出した結果それぞれの作り込みが浅くなり、器用貧乏なゲームになってしまった印象です。

それであれば、あえてゲームシステムを絞り込むことで開発リソースを集約し、一つひとつの練度を上げた方がトータルの完成度は上がったような気もします。

 

ただ公平を期すために最後に書くと、一見して似た要素を持つゲームの間でも、本作のようにアクション面に比重を置いたようなゲームはそもそも自分に合わないのではとも思いました。これは個人的なことですが、なんせハクスラのようにステータスで殴り合うゲーム、Factorioみたいな工場系、ストラテジーをやることが多い昨今、本作はジャンルとしてやや浮いていたようにも見えます。

たぶん「敵と戦う」というアクション面に面白さを感じる人であれば僕よりも本作を好意的に捉えられるんじゃないかなあと思います。僕自身はゲームに対してどちらかというとロジック的な面白さを求める傾向にあり、そこが本作とのミスマッチだったのかなと感じました。モンハンとかソウルライクが好きであれば少なくとも佳作という評価にはなり得るでしょう。

というわけで本作の個人的な評価は50点くらい。本作に似たようなゲームをこれから買うことはないかな…。

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