【Slay the Spire感想】運ゲー、だけど面白い【95点】

slay the spire

個人的評価:95点 とても買ってよかった

ローグライクカードゲーム『Slay the Spire』をプレイした感想です。

前々からゲームの存在は知っていたのですが、この手のジャンルはやったことがないこともあり、興味を持ちながらも手を出せずにいました。でも「圧倒的に好評」ならきっと面白いだろうと思って購入。

アセンション19から己の限界を感じて燃え尽きたのですが、ここまで熱中して長くプレイできたオフラインゲームは本当に久しぶりでした(個人的にはFactorioかRimworld以来かな)。ここ数年Steamで買った中では一番のアタリと言ってよく、やってみてよかったです。

ゲームの勝敗に良くも悪くも運が大きく絡むのは事実。ただ、その中でも自分にやれることはあるわけで、戦略の幅が広がったり、勝率が上がっていく過程が楽しめました。

正直人を選ぶクセの強いゲームなのは否めません。しかしそれはハマる人にはとことんハマるポテンシャルを秘めていることの裏返しでもあると思います。「どっぷりハマれる面白いゲームを見つけたい!」という人であれば、ジャンルの好き嫌いは一旦忘れてやってみて損はないと思います。

実は最初はクソゲーだと思った

Slay the Spireを長く(*)遊び、こうして感想を書いている時点ではほぼ全面的に肯定するくらい本作を高く評価しています。

*本レビューの初稿執筆時で230時間くらい。他のユーザーに比べると少ないかもしれませんが、僕の中ではかなり長い方。

しかし、実を言うと初めて5時間くらいやった時点では「運の要素が強すぎるクソゲー」という評価を下さざるを得ず、Steamにも半ば怒りを込めて不評レビューを投じました。今は書き直して好評レビューとしていますが。

なぜ最初はクソゲーだと思ったのか。それはゲームの勝敗に運が絡みすぎると思ったからです。

例えばアイアンクラッド(最初から使えるキャラ)で数時間もやれば、初心者でも「このカードはすごく強いな」とか「このレリックがあるかないかで難易度がぜんぜん違う!」ということが分かります。

するとそれらを運良くゲットできたときは攻略がスルスル進み、そうでないときは苦戦を強いられる…ということが起こるわけです。そういう展開を何度か経験すると、「ああ、このゲームはアタリが出るのを祈るスロットみたいなものなのかな」と思いました。

今振り返ってみても、そういう認識のもとでは不評レビューを投じるのも必然と思います。

 

5時間くらいやったあとで「もうやめようかな」と思ったのですが、せっかくお金を出して買ったことだしもうちょっとやることにしたところ、不思議なことに評価が少しずつ変わってきました。

やればやるだけ知識がついてきて、最初は運に身を委ねていた部分もロジカルに対処できる余地が増えてきたんですね。

例えば、

  • カードどうしの相乗効果の出し方
  • スノーボールによる成長(強いカードやレリックを手に入れて更に強くなっていく戦略)
  • リスク・リターンを考えたルート決め
  • 目先のボスやエリートの特性を考えた上でのカードの取捨選択
  • 敵ごとの行動パターンと対処方法の定石
  • デッキの現状に基づいたボスレリックの選択
  • 隠しボスを倒すためのいくつかの勝ちパターンの把握

など色々な要素について考えられるようになってきました。もちろんそれでも運は大きく影響しますが、上記のようなことを考えるのと全く考えないのとでは勝率は大きく変わってきます。

一見シナジーが見込めなさそうなカードでも、ある特定の場面では使いようがあったり、最初は軽視していた効果が案外重要だったり。そういう気づきを得ること自体が楽しい体験でした。

そんなこんなで「なるほど自分でどうにか出来る余地もけっこうあるんだな~」と気づいてからはどっぷりハマってプレイしていました。

買ってから燃え尽きるまででここまでゲームへの評価が変わったことってこれまでなかった気がします。最初から面白いと思うか、それともずっとハマらないか。ふつうはこのどっちかです。

依然として運ゲーではある

面白いゲームと確信している今でさえ、このゲームが本質的に「運ゲーである」という認識は変わっていません。どんなに上手い人でも勝率100%にならないのがその証拠です。

この点をどう見るかが、Slay the Spireの評価する上での唯一にして最大の分かれ目だと思います。

運ゲーだから面白くないと思うか、運ゲーだけど面白いと思うか。僕自身は後者ですが、前者の気持ちもよくわかりますし、まるで刃の上に立つようにそちらに転んでもおかしくないとさえ思います。

本作をプレイしていると、

  • 「こんな引きでどうやって勝てというんだ!」と思って投げたくなる瞬間
  • 強いカード・レリックが揃いすぎて、勝てなかったらむしろ引退という回
  • ポーション一つの差で勝てたボス戦
  • デッキ自体は悪くなかったが、ドロー運がなさすぎて負けた

みたいな運に大きく左右された展開がしょっちゅう起こるわけです。

負けたときはもちろん悔しい。でも不思議なことに、一番萎えるのはむしろ勝てたときだったりします。一応クリアは出来たけど、リザルトを見てみると良いカードやレリックが揃いすぎていて、「ここまで上振れないと自分は勝てないのか…」と思うことが少なくありませんでした。そういう瞬間が一番悔しい。熱中してプレイしていた期間ですらそうです。

 

ただゲームへの見方を変えた転換期みたいなものが僕にあって、そのきっかけが上手い人の配信を見始めたことでした。

アセンションがなかなか上がらなくなったとき、根本的に何かが足りておらず、もはや自分だけで考えていてもしょうがないと思いました。

それで上手い人の配信を見ていると、A20Hでも高い勝率を維持していることが分かります。ということはつまり、上振れたときだけでなく、運にそこまで恵まれなかった回でも、あるものでどうにかこうにかやりくりすることで勝利までこぎつけているということです。実際に配信を継続してみていると、「え、そのデッキでも勝てるの?すげー」とか「この人でも流石にこの運の悪さでは無理なんだな~」と思ったりします。

そういうインプットを経て、スレスパが運ゲーなのは否定できないとしても、勝率は確かに腕によるんだということを確信しました。それからですかね、このゲームをもっと肯定できるようになったのは。

もちろんそういう玄人はプレイ時間が数千時間とかで、自分が追いつけるレベルではないですし、配信を見たからといって自分の勝率もすぐ上がるわけではありません。でも得るものはありました。

ポテンシャルを秘めたゲーム

Slay the Spireを人におすすめするかというと、個人的に大変満足している今でさえやや難しいところがあります。

というのもローグライク・カードゲームというジャンルはさておくとしても、本作はなかなかにクセが強いゲームであり、かなり人を選ぶとは思います。実際、「圧倒的に好評のレビューに惹かれて購入するも、運ゲーすぎて自分には合わなかった」というレビューも少なからず見受けられました。開始5時間時点では僕もクソゲーだと思ったので、その気持も分かるっちゃ分かります。

ただ、スレスパ購入前の僕のように「どっぷりハマれるゲームがやりたい、そういうポテンシャルがある作品を見つけたい」と思っている方にはぜひやってみてほしいというのが僕の考えです。

見方によっては、ゲームを買うというのはある種の投資みたいなところがあると思います。面白そうだと思って買ったゲームが期待どおり楽しめたり、あるいは思っていたのと違って後悔したり。Steamで年に何作もゲームを買っているとどっちのケースもしょっちゅうあります。実際僕も2時間以内に返品することも珍しくありません。

なので、本当にハマれる作品に出会うためには食わず嫌いせず「数を打つ」ことが必要なのかな~と、スレスパを楽しめるようになってから思いました。ローグライクにもカードゲームにも縁がなかった自分ですが、これは買って正解でした。

スレスパは人を選ぶものの、ハマれる人はとことんハマれるタイプの大きなポテンシャルを秘めているゲームだと思います。個人的評価は95点。買って大正解。