2024年3月 間違って完全に削除した記事を復元
個人的評価:85点 とても楽しめた
「XCOM2」Steam版をクリアしたのでレビュー(前作は未プレイ)。
無印の難易度ルーキー(EASY相当)と、DLCのWar of the Chosen(*)のベテラン(NORMAL相当)でクリアしたので、とりあえず一通りは遊べたかなという感じです。
*以下、WotC
この記事では無印とWotCの両方に共通するポイントについて書きたいと思います。WotCのレビューについてはこちら
【関連】XCOM2大型DLC『War of the Chosen』レビュー【実質XCOM2.5】
総評としては、XCOM2は僕がやってきたストラテジーゲームの中では間違いなく面白い部類に入ります。
ただ初見殺しや理不尽な展開も多く、画面を殴りたくなるくらいイライラしたのも事実。「知らないと対処できない理不尽」という感覚については、かの名作デモンズソウルに近いものがありました。XCOM2もとにかく死んだり負傷したりといった失敗を繰り返しながら覚えるゲームです。
そういうわけで難易度は高く、実は僕自身も買ってすぐのころは諦めて放置していました。しかし数年後の今になってもう一度手を付けたらハマったという次第です。面白いのは間違いないので、多少の理不尽とイライラに耐えられるのであればおすすめできます。
XCOM2の面白かったところ
戦略を考えるのが面白い
XCOM2は戦闘と内政の両方でストーリーを進めるストラテジーゲームです。メインはあくまで戦闘で、内政はどちらかというと補助的な要素。
戦闘はターン制で、マス上のユニットを動かして、遮蔽に隠れたりグレネードを発射したり、あれやこれやの手を使って敵を倒します。相手の方でも超能力やテレポートなど、ありとあらゆる方法でこちらを殺そうとしてきます。このシステムはかつて僕がプレイしたゲームでいうと『戦場のヴァルキュリア』とほぼ一緒です。(僕はやったことはないですがファイアーエンブレムとも似ているとか)ストラテジーゲームなので当然ではあるのですが、やっぱりその戦略を考えるプロセスが何より楽しいです。
行動ポイントは1ターンにつき2ポイント。それぞれのユニットをどう動かし何をさせれば敵を倒せるのか、あるいは被害を少なくできるのか。この作戦立てこそがXCOM2の最大の醍醐味だと思います。
高いランダム性・リプレイ性
XCOM2が面白いのは、毎回の戦闘(ミッション、いわゆる1試合)ごとに全く違った展開があるからです。
マップや出撃させるユニット、敵ユニットの種類と数、遭遇時の配置、オブジェクトなど多数の要因によって、同じ状況は二度とはありません。さらにいえば、たった一発の射撃が当たるかどうかでも、1ターン後の様相はガラリと変わります。
これは開発元(FIRAXIS)が同じCivilizationシリーズと同じです。Civにおいても、登場する文明やランダム生成されたマップ、初期配置などが違えば毎回違ったプレイになります。XCOM2もそれと同じです。
XCOM2では確かにある程度決まったセオリーはあります。遊撃兵やリーパーなど斥候役が索敵して、グレネード兵で遮蔽を壊して、スナイパーで遠くから狙撃するみたいな。(あくまで一例ですが)
ただ上に書いたようないくつもの要因によって毎回完璧なセオリー通りにはいきません。というかそうなる方が珍しいです。そういうわけでXCOM2は(ハマることさえできれば)一周やって終わりではなく、難易度を変えたり、より最適な進行を目指して何度も繰り返し長く遊べるゲームになっています。
クラスの育成と多様性
XCOM2には無印で5つ、DLCもすべて含めると合計9つのクラスが存在します。クラスはドラクエでいう職業で、ざっくりとしたイメージは下記。(前5つが無印)
- 遊撃兵…剣やショットガンによる近接攻撃が得意な斥候
- グレネード兵…爆発物や重火器による遮蔽や装甲破壊を担当
- 技術兵…ハッキングによる工作や味方の回復役
- 狙撃兵…スナイパーライフルによる遠距離からの射撃に向く
- サイキック兵…エイリアンの力を利用した超能力者
- SPARK…グレネード兵を特殊にしたようなロボット
- リーパー…シャドー状態での斥候とトドメ役
- スカーミッシャー…機動力重視のトリッキー兵士
- テンプラー…サイキック兵と遊撃兵のミックス
見てのとおり、これらのクラスにはそれぞれ特徴があって、得意とするシチュエーションも異なります。
これまで書いてきたこととも密接に関係するのですが、クラスの特色を戦略に盛り込んでいくのがXCOM2の面白いところです。壁の向こうに隠れている敵に対して、遊撃兵で切り込むのか、狙撃兵で高所から狙い撃つのか、グレネード兵で爆殺するのか。こんなふうに、ありとあらゆる状況で各クラスをどう使うのが最適か考えるのが楽しいのです。
ユニットは昇進(レベルアップ)すると新しいアビリティを使えるようになるのですが、その選び方でさらにユニットごとの多様性が生まれます。というのも、昇進時に選べるアビリティは二者択一であるため、全てを覚えることはできません(いくつか例外あり)。そのため同じクラスとレベルだとしても、アビリティの選び方で違った存在になってくるわけです。例えば狙撃兵といっても、スナイパーライフルによる射撃に特化するのか、ピストルによる近接射撃を伸ばしていくのかで、得意とする戦況は大きく変わってきます。もちろん両者のいいとこ取りも可能。
さらに書くと、装備する武器やアップグレード(スコープなどのパーツ)やアーマーによっても差が出てきます。大型DLCであるWotCの要素も含めるともっとあるのですが、ここではこれくらいにしておきます。
まとめると、XCOM2におけるクラスは実はかなり奥が深いものであり、その多様性のある育成を楽しむのも醍醐味の一つです。クラスの育成についての面白さについては、ハクスラの名作GrimDawnに通じるものを感じました。(あそこまで複雑ではありませんが)
【関連】【Grim Dawn感想】自分史上最高のオフラインゲーム【99点】
XCOM2の良くなかったところ
理不尽な展開にイライラする
XCOM2の一番悪いところは、楽しさと同じか、あるいはそれ以上にイライラすることです。
このゲームではとにかく理不尽なことがたくさん起こります。初見殺しや、実際にやってみないと分からない(対処しようがない)要素が多いです(デモンズソウル的な)。
近接攻撃が効かない(のに何の説明もない)敵、リーパーのシャドー状態でも襲ってくる(のに何の説明もない)敵…などなど。理不尽なことを書くと本当にキリがないのですが、そういう「上手くいかなくて当たり前なこと」を許容できないと楽しくプレイするのは難しいと思います。また、詳しくはこのすぐ後で書くように、高確率で当たるはずの射撃が外れたときも理不尽に打ちのめされます。
結局は運ゲーである
XCOM2は特に難易度の高い局面において少なからず「運ゲー」にならざるを得ません。プレイヤーの方でどれだけ戦略を練っても、最終的には運任せになってしまう側面があります。
このゲームでは、射撃や斬撃といったアクションが成功するかは命中率に左右されます。そういうわけでプレイヤーはできるだけ運に頼らない、確実な戦略を練らなければいけません。しかし、どうしても運としか言いようのない場面は避けられず、そこではもはや運ゲーとしか言いようがない理不尽が必ず起きます。
例えば敵の側面をとって命中率90%を確保したとしても、外れるときは平気で外れます。するとそのターンに倒せると仮定していた敵から次のターンに反撃されて、部隊は壊滅状態…なんてこともXCOM2の世界では日常茶飯事。運ゲーの要素をゼロにはできない。
これはXCOM2の良いところでも悪いところでもあると思います。完全に決まったやり方をトレースするだけなら、XCOM2はこんなに面白いゲームにはならなかったでしょう。
時間制限ミッションと強制強行
XCOM2のミッションにはいくつか種類があるのですが、中には時間制限付きのものがあります。
例えば具体的にクリアまでのターン数に制限があったり、目的のオブジェクトにたどり着くまでに事実上の制限(敵がオブジェクトを破壊する前に倒すみたいな)があったりします。この場合、途中を駆け足で進軍しなければならなくなることで難易度が理不尽に上がっているように思います。
確かにそういう制約があるからこそ工夫が必要になり、そういうミッションなりの戦略を練る楽しさも生まれる…という側面はなくはありません。ただ、個人的にはこれは単なる理不尽に近いもので、ゲーム本来の面白さを損なっていると思いました。
このゲームは基本的に「急いで前に出てはいけないゲーム」です。というのも、敵と戦闘中に陥る最悪のシチュエーション(の1つ)は、別な新しい分隊と遭遇することだからです。XCOM2の戦闘マップにおいて、敵はいくつかのグループ(分隊)に分かれて配置されています。複数の分隊をいっぺんに相手するのは非常に厳しく、ノーダメージで切り抜けるのはほぼ不可能です。
よって、それぞれの分隊を1つずつ各個撃破していくのが理想的なセオリーになります。時間制限のないミッションであれば個別に対処していくのは難しくありません。スキャナーやシャドー状態のリーパーで敵の位置を確認しつつ進軍すれば(よほど運が悪くない限り)可能です。しかし制限があるとそうはいきません。急いで進むと複数の分隊とぶつかりやすくなり、かといって牛歩作戦でいくと時間切れでミッション失敗となります。
これは本質的な面白さとはかけ離れていると思わざるを得ませんでした。一応WotCでは「ミッションの制限ターン数を増やす」というレジスタンス指令(ボーナス)が導入されたため、この問題は多少は緩和されてはいます。
その他の点について
内政は割とシンプル
XCOM2のメインは戦闘ですが、それと並行して武器の開発や施設建設、レジスタンスとの連携、といった内政パートがあります。資源管理の要素なんかはCivにも通じるものがあり、ストラテジーゲーム好きとしてはやり繰りが楽しいです。
ただこちらはあくまでサブという感じで、割とやることが決まっている印象でした。具体的なことは攻略情報になるのでここには書きませんが、一周プレイすれば何が重要な要素なのか分かると思います。
ロードが長い
無印ではミッション開始と終了後のロードが20秒くらいかかります。これはPCのスペックがどうこうではなく、ゲームの仕様らしいです。(僕はSSDでプレイ)これはサクサクとプレイしていきたいとき冗長に感じてしまうので技術的なデメリットだと思いました。
ただDLCのWotCを入れるとロード時間が劇的に短くなります。(内部の最適化がなされたのでしょうか)
ロードではないのですが、繰り返す必要のない無駄な演出も目立ちます。このあたりはMODでスキップ可能なので、冗長だなと感じたときに導入してみるといいでしょう。個人的に特に無駄だと思ったのは、アヴェンジャー(船)の内部とワールドマップを行き来するときの演出で、これは下記のMODで省略できます。
【関連】XCOM2 UI改善&時間短縮MODの紹介【おすすめ順】
おわりに
XCOM2はストラテジーゲームにおける名作と言っていいと思います。マスの上でユニットを動かして戦うゲームが好きなら楽しさは見出だせるでしょう。
初見殺し的な理不尽さに耐える必要があることには注意。僕自身も最初はあまりの難しさに投げました。戦略だけで全てが上手くいくわけではなく、多かれ少なかれ運に任せる部分も出てきます。
それでもやっぱり個人的にはXCOM2は面白い。ストラテジー好きならチェックして損はない作品だと思います。かくいう僕でも定価7,000円は高いと思うので、セール時などに狙ってみてください。
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