ロジクール(Logicool)のヘッドセット『G PRO X G-PHS-003』を実際に使ってみた上でのレビューです。
主にPS4 PRO(と少しだけPC)でAPEXをプレイする際に使用した上での評価となります。
総評としては、1万円のヘッドセットとしては非常に高級感があり、音質についても入出力ともに期待したとおりのものでした。
特に本体の作り込みと堅牢性が気に入っており、この点だけを見ても個人的にはベストバイだったと思います。
マイク音声を改善する『Blue Voice』、擬似的にサラウンド音声を作り出す『dts headphone x』というソフトウェア技術がウリの1つのようですが、正直これらは必要ありませんでした。
追記:このヘッドセットでソロダイヤを達成しました↓
Logicool G-PHS-003を選んだ理由
まずは、数あるゲーミングヘッドセットからLogicool G-PHS-003を選んだ背景について書こうと思います。
APEXをプレイするにあたり、(1)敵の足音をよく聞くのと(2)フレンドと高音質でVCする、という2つの目的でゲーミングヘッドセットの購入を決めました。
僕はLogicool信者とは言わないまでも、これまで製品を使ってきた経験からメーカーへの信頼があります。ゲーミングマウス『G703h』やその他のデバイスについても全て満足して使えています。
【関連】【Logicool G703h レビュー】PC版APEX用のゲーミングマウスとして
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なので今回もLogicoolから選ぼうということになり、
- 本体の堅牢性
- マイクの音質が良さそうであること
この2つを重視したところ辿り着いたのが今回レビューする『G PRO X G-PHS-003』です。
店頭で色んなゲーミングヘッドセットを物色してみたのですが、安めの製品はプラスチック部分がギシギシ軋んだり、壊れやすそうな印象を受けるものが多く見られました。
長く使う上で壊れにくさは個人的に譲れない要素で、妥協したくありません。G-PHS-003はスチールとアルミニウムを骨格としており、ちょっと触っただけでも頑丈なのが分かりました。
もう1点、なるべくフレンドに高音質な声を届けたかったのでマイクの音質も大事です。
事前のリサーチで、G-PHS-003には『Blue Voice』というソフトウェアレベルの技術が使われていることが分かりました。難しいことはさておき、要はこれがあるおかげでマイクの音声がクリアになるようです。
実際に使ってみないと効能は分かりませんが、僕が求める要素とマッチしていました。(後にこの機能はPCでしか利用できず、しかも個人的には不要だと判断することになるのですが)
【参考】Logicool Blue Voice マイクテクノロジー
ヘッドホンとしての出音については買ってみるまで分からないと腹をくくって、購入前はあまり気にしませんでした。
堅牢なボディとマイクテクノロジーという特徴を持ちながら、G-PHS-003は新品で実売1万円くらいでした。
たぶんもっと安いヘッドセットでも要は足りるだろうとは思いつつも、許容範囲の値段だったので需要に最もマッチした本機に決定。
下位モデルの『G PRO G-PHS-002』も有力な選択肢でしたが、前述のBlue Voiceがないのと、結局値段が1,000円しか変わらなかったため見送りました。
ワイヤレス仕様の『G-PHS-004WL』は値段が倍くらい跳ね上がるのでパス。
Logicool G-PHS-003の付属品
ここからはLogicool G-PHS-003の内容について見ていきます。
こちらが外箱。外装からして高級な感じが漂っています。
外箱から中身を取り出した様子。
付属品は以下のようになっています。
- ヘッドホン本体
- クイックスタートガイド
- 保証書
- 詳細についての書類
- 交換用イヤーパッド(クロス製)
- 取り外し式マイク
- USBサウンドカード
- PC用ケーブル
- モバイル用ケーブル
- Yスプリッタ
- ポーチ
ヘッドセット本体
まずはヘッドセット本体から見ていきます。
全体的にとても高級感があります。これは店頭で見ていたときから感じていたことですが、家で手にとってもその印象は変わりませんでした。
1万円でこの質感と堅牢性は大満足。これが本製品の一番の強みと言っていいかもしれません。
特に気に入ったのがハウジング中央部のロゴ周り。
放射状に煌めく円形のパーツがなんとも言えぬ高級感を醸し出しており、思わずうっとりしてしまいます。
ハウジング本体(黒い部分)はマットな手触りで、こちらも上質かつ頑丈な作りになっています。細部に至るまで死角がありません。
イヤーパッドとヘッドバンド、つまり体に触れる部分は合成皮革で出来ています。これまた高級感があって素晴らしいです。
バンドの長さは11段階で調整可能。
僕はけっこう頭が大きい方でフリーサイズのキャップはまず似合わないのですが、このヘッドセットだと最大に伸ばして丁度いいくらいでした。
なおかつメガネをかけていても、側圧はキツくは感じませんでした。ヘッドホンならこれくらいかなあという印象です。
使い始めてまだそこまで時間が経っていない状態でこの評価なので、これから使い込んでいくにつれて馴染んでさらに緩くなってくるかもしれません。
※ちなみに、PS4でプレイ中にDiscordをするためにヘッドセットの中にイヤホンを仕込むという荒業をやることがあるのですが、イヤーパッドはそれが出来るくらいの大きさがあります。
マイクを取り付けた状態のヘッドセットみの重さは337g。
個人的な感想としては、重くはないけど快適でもないというくらいの重量感です。
僕の一度のゲームプレイ時間は長くても3時間くらいなので問題ありません。
質量だけでなく側圧なども関係してきますが、長時間の使用を想定したり、特に快適性を重視するという場合はこのモデルは向かないと思います。
(他につけ心地に特化したモデルがあればそちらの方がいいでしょう)
マイク
G-PHS-003のマイクは取り外し可能です。
仮にマイクを使わない場面があったら外しておけば邪魔になりません。今の僕には当てはまりませんが、マイクは別途用意する状況になったらこの機能が活きてくるでしょう。
個人的に特に気に入っているのが、ケーブル部分を柔軟に曲げられること。口からの距離をすぐに変えられるのがとても便利です。
しかもこの部分は金属製なので頑丈であり、何度も形状を変えたとしてもおそらく簡単には断線しないと思います。
交換式イヤーパッド
G-PHS-003には交換用のイヤーパッドが付属しているため、デフォルトのものと合わせて2種類が使えるようになっています。
元から付いているのは既に見たように合皮製。
もう一種類はポリエステルと思われるクロス製。
ちなみに、写真でも分かるとおり、イヤーパッドには「R」「L」という文字が書かれていて左右を区別できるようになっています。(どちらも形は同じです)
ケーブルとサウンドカード
G-PHS-003に付属するケーブルは、(1)PC用と(2)モバイル用の2種類があります。
これらの使い方については、付属のクイックスタートガイドに簡単な説明があります。
こちらがPC用のケーブル。
どちらのものなのかは青色のタグを見れば分かります。サウンドカードが描かれているのがPC用。
このケーブルの使い方を簡単に書くと、メインとしてはUSBサウンドカードを通じてPCに接続するのに使います。
詳しくは後述しますが、管理ソフトG Hubで認識したり、Blue Voiceやdts HEADPHONE:Xといったソフトウェア技術を利用するには、このサウンドカードでUSB接続する必要があります。
もう一つの使い方として、ヘッドホン出力とマイク入力を別な端子に分岐するYスプリッタを用いることもできます。このスプリッタも付属しています。
あえてUSB接続せず、PC本体などのマイク・ヘッドホン端子2つを利用するのであれば、このスプリッタが必要です。
スプリッタのプラグ部分にはヘッドホンとマイクのマークがあるため、区別できるようになっています。
USBサウンドカードを使う場合と、Yスプリッタを使う場合とでは、音質にこれといって変化はありませんでした。
サウンドカード自体には目に見えて音質を向上させるほどの機能はないと思います。あくまでUSB接続用の機器と思うのが妥当でしょう。
PC用に加えて、モバイル用のケーブルも付属しています。
個人的にこのケーブルは全く使っていないのですが、試しにスマホにつないでみたところ、途中にあるボタンは「再生・一時停止」として機能しました。
Logicool G-PHS-003とG Hub
Logicool G-PHS-003のハード面について書いたところで、次はソフトウェア面について見ていきたいと思います。
管理ソフト「G Hub」を使うと、G-PHS-003の入出力についての様々な設定や、音響技術を利用できます。
G HubはLogicoolの公式サイトから無料でDL可能。
【外部リンク】Logicool G Hub
インストールするとこちらのような画面になっています。
G Hubは色んなジャンルのLogicool製品を管理できるため、この画面では僕が使っているワイヤレスマウス『G703h』も表示されています。
そのとなりにある『PRO X』というのが今回レビューしているG-PHS-003です。
【関連】【Logicool G703h レビュー】PC版APEX用のゲーミングマウスとして
G-PHS-003について設定できる項目を大きく分けるとヘッドホン(出力)とマイク(入力)の2つです。
まずヘッドホンの方から見ていくと、基本的な機能としてEQのパラメータを設定できます。
EQの設定なんて出来ないという場合は、あらかじめ用意されたプリセットから選ぶことも可能。
例えばAPEXのようなゲームをする用途であればプリセットから「FPS」を選ぶと、FPSに合ったEQが自動的に設定されるという仕組みです。
ただAPEXはデフォルトで足音が大きいゲームということもあり、個人的にはEQの設定はしなくても何の支障もありませんでした。こだわる人だけいじってみればいいと思います。
さらに、「サラウンドサウンド」を有効にすると、dts HEADPHONE:Xという技術がONになって聞こえ方が変わります。
dts HEADPHONE X(以下dts)とは何かというと、最大11.1chのサラウンド音声をステレオ音声(2ch)上で仮想的に再現する技術です。
…なのですが、正直なところ、少なくともAPEXをやるにあたってはこの技術は全く不要という結論に達しました。
dtsを有効にすると、確かにサラウンドな(囲まれているような)感じがしなくもないのですが、同時に音がこもっているようにも聞こえます。
結局はdtsを無効にしたデフォルトの状態で問題ないどころか、むしろそれが一番いい状態だと感じました。
よってこの技術によってFPS体験が劇的に向上するということはなく、あったら試してみる程度に考えたほうがいいと思います。
続いてG Hub上でのマイクの扱いについて見ていきます。
デフォルトの状態ではマイクについて設定できるのはマイクレベルの調整だけです。
一方、マイク入力音声を改善・調整する技術である「Blue Voice」を有効化すると、さらに細かい設定ができるようになります。
しかしdtsと同様、このBlue VoiceについてもFPSでVCをする分にはあまり必要性を感じない技術だと思いました。
写真に「マイクテスト」という部分がありますが、これを利用すると今のマイク設定で自分の声がどう聞こえるか録音してその場ですぐ確かめることが出来ます。
これを使ってBlue Voiceありなし、ありの場合はパラメータを調整という試行錯誤を何度も繰り返してみたところ、Blue Voiceなしの音声が一番自然でVCに適するという結論に達しました。
用途にもよるでしょうが、APEXで使いたい僕にとってはこれが正直な感想です。
補足として(僕の理解が正しければ)、dts HEADPHONE:XとBlue Voiceの技術はG HubをインストールしたPCと接続した場合のみ機能します。
つまり、PS4のようなゲーム機やスマホと接続した際にはこれらの恩恵は得られません。
しかしそもそもこれらのソフトウェアの必要性を感じず結局使わない僕のようなユーザーにとっては特に支障のない事実です。
Logicool G-PHS-003 音質について
ここまで管理ソフトG Hubとそれを通じて利用できるdts HEADPHONE:XとBlue Voiceという、2つの音響技術について見てきました。
それらを踏まえてG-PHS-003の音質について言うと、ソフトウェア技術に頼らないデフォルトの状態でもゲーミングには十分な音質を有するというのが僕の感想です。
2つの音響技術は「なんかすごそう」という印象こそ与えるものの、少なくとも僕にとってはどちらも必要性を感じさせるものではありませんでした。
かといってG-PHS-003の評価が下がるわけではなく、むしろヘッドセット自体が十分高性能なのでAPEXには満足して使えています。
まず出音(ヘッドホン)の方から書いていくと、APEX用途としては期待した通りのものでした。
FPSにおける音響で特に重要なのは敵の足音を聞くことだと思います。実際にやってみると分かるのですが、足音が聞こえるのと聞こえないのとでは索敵能力に天と地ほどの差があります。
もともとAPEXは足音がバカでかいゲームということもありますが、G-PHS-003を通じて聞くと敵の足音が嫌というほど響いてきます。通常の聴力の持ち主ならば絶対に聞き逃さないはずです。
その他にも、銃を発砲した際の音の空間的な広がりもよく伝わってきます。適当なスピーカーやイヤホンよりも、G-PHS-003を使う方が格段に臨場感のあるゲーム体験ができることは疑う余地ありません。
次にマイクについてですが、前述のとおりBlue Voiceの技術をOFFにした状態が一番いいように思いました。(設定を突き詰めればONの方に最適解があるのかもしれませんが…)
円滑なVCをするために、ヘッドセット選びの段階ではマイクの音質を重視していました。
実はマイク付きヘッドセットというものを使うのは個人的に初めてだったのですが、当初期待していたレベルの音質は得られたと思います。
フレンドと何度もVCありでAPEXをしてきましたが、音質についての苦情は一度もありません。僕自身G Hub上で何度もテスト録音と確認を繰り返しましたが、VCをするには十分な音質であると評価しています。
ただ誤解を恐れず言うと、G-PHS-003のマイク音質はあくまでヘッドセットのクオリティです。
もし今よりずっと高音質なマイク環境を得ようとすると、それはもうオーディオインターフェース+コンデンサマイクなどの組み合わせに移行するしかないと思います。
Logicool G-PHS-003 総評
以上、ゲーミングヘッドセット『G PRO X G-PHS-003』をFPS用途で使ってみた上でのレビューでした。
総評としては、G-PHS-003の特徴は以下の2点でまとめられると思います。
- 1万円のヘッドセットとしては大満足の高級感
- 音響ソフトウェア技術なしでも十分な音質
個人的に一番気に入ったのは、やはりヘッドセット本体の高級感と堅牢性です。
低価格のプラスティック製モデルと比べるとハード面の質感や仕上がりは一線を画します。これは店頭でちょっと触っただけでもすぐに分かるでしょう。
dts HEADPHONE:XやBlue Voiceといった技術は一見すごそうな印象を受けますが、期待は禁物。
とはいえ素の状態でヘッドホン出力・マイク入力のクオリティは優れていて、1万円のヘッドセットで得られる音響体験としては申し分のないものでした。APEXでの使用には適していると思います。
ある程度以上の価格帯になるとヘッドセットなんてどれも同じ、というのも事実かもしれませんが、特に本体の高級感を求める方は本機を検討してみてはいかがでしょうか。